外貨預金・海外株・海外債券、みんなどう選んでる? 「買うまで」を調べてみた

マネー

前回の記事では、日本の家計で外貨性資産への動きが強まっていることを取り上げた。

では、実際に外貨性資産を買っている人たちは、どうやって商品を見つけ、比較し、購入しているのだろう。

最初から米ドル預金や米国株を買うと決めているのか。ネットで調べて比較するのか。銀行や証券会社から紹介されるのか。あるいは、普段見ているYouTubeやSNSの発信者が入口になるのか。

気になって調べてみた。

結論から言うと、この過程を最初から最後まで追跡した公開調査は見つからなかった。

ただし、情報の入手先、商品を知ったきっかけ、購入時に参考にした情報、注文方法については、それぞれ調査がある。

その断片をつないで、購買経路を復元してみる。

投資情報はどこから得ているのか

日本証券業協会の2025年度「個人投資家の証券投資に関する意識調査」では、投資にあたって最も活用している情報収集源は「インターネット(Webサイト)」が37.9%で最も多い。

次いで動画・画像系SNSが10.5%、新聞・雑誌が9.4%、金融機関の販売員が7.9%。30代以下では、動画・画像系SNSが23.0%まで上がる。[1]

少なくとも、個人投資家の情報探索にWebやSNSが大きく入り込んでいることは分かる。

ただし、「どこから情報を得たか」と「何を見て購入を決めたか」は同じではない。

「知る」と「決める」は違うのか

投資信託協会の2024年調査では、投資信託に興味を持ったり購入したりしたきっかけとして、「金融機関の人に勧められて」が31.5%、「インターネットで見たり調べたりして」が27.5%だった。[2]

一方、購入時に参考にした情報では、「投資信託を販売している会社(証券会社、銀行など)のホームページ」が27.4%で最も多く、目論見書・運用報告書、販売用資料がそれぞれ2割を超えている。[2]

ここから、

ネットやSNSで知る
→ 興味を持つ
→ 金融機関や運用会社の情報を確認する
→ 購入する

という経路は十分考えられる。

商品を発見する場所と、最終的な判断材料を得る場所は違うのかもしれない。

「人」から商品を知る経路もある

もう一つ気になるのが、特定のインフルエンサーや投資情報の発信者を継続的に参考にする人たちだ。

楽天証券が掲載しているアンケートでは、投資信託のみを保有する人でYouTubeを参考にしている人は24%、Xは13%。投資信託に加えて株式なども取引する人では、YouTubeが33%、Xが22%となっている。[3]

また、楽天証券の2026年「暮らしとお金に関する意識調査」では、「ブログ・YouTube・Instagram等で得られる無料の情報」を投資に用いる情報源として挙げた人は24.1%。30代では29.7%だった。[4]

もちろん、YouTubeを見ることと、発信者の勧めに従って商品を買うことは同じではない。

ただ、検索とは異なる経路が考えられる。

発信者を継続的に見る
→ そこで商品を知る
→ 興味を持つ
→ 購入を検討する

つまり、商品を探して人にたどり着くのではなく、人を見ていたら商品にたどり着く経路である。

さらに特定の発信者への信頼が強ければ、

自分で商品A・B・Cを比較する

のではなく、

信頼する発信者が選んだ商品の中から選ぶ

こともあり得る。

商品の比較の一部を、発信者に委ねているともいえる。

特定の発信者を参考にすること自体に問題があるわけではない。複雑な金融商品を理解する助けにもなる。

ただ、その人に適した商品や投資手法が、自分の資産状況、投資期間、リスク許容度にも適しているとは限らない。また、取り上げられなかった商品は比較対象に入らず、広告やアフィリエイトなど発信者側の利害関係が存在する場合もある。

「誰を信頼するか」が「何を比較し、何を買うか」を左右する。

これも一つの購買経路として考えておく必要がありそうだ。

最後はどこで買っているのか

購入段階についても手がかりはある。

日本証券業協会の2026年度調査では、株式保有者の主な注文方法は、パソコン・タブレットを使ったインターネット取引が53.6%、スマートフォンが30.0%。合わせて83.6%だった。30代以下ではスマートフォンが53.5%を占める。[5]

ただし、この調査自体がインターネット調査なので、その点は割り引いて見る必要がある。

ここでも分かるのは「どこで注文したか」であって、その前に何を見て、何と比較したかではない。

三つの購買経路を仮説として置いてみる

ここまでのデータをつなぐと、少なくとも三つの経路を仮説として考えることができる。

自己探索型
検索や金融情報サイトなどから商品を知り、自分で比較し、公式情報を確認して購入する。

金融機関型
銀行や証券会社との接点から商品を知り、説明を受けて購入する。

発信者起点型
普段から見ているインフルエンサーや専門家などから商品を知り、その評価や説明を判断材料として購入を検討する。

実際には、この三つが混ざり合っている人も多いだろう。

問題は、その実態を示すデータがないことだ。

結局、「購買経路」は分からなかった

金融商品をなぜ買うのかという調査はある。

何を保有しているかという統計もある。

情報をどこから得ているかも、どこから注文しているかも分かる。

しかし、

「外貨性資産を買おうと思った人が、最初に何を見て、次に何と比較し、誰の情報を信用し、なぜその商品を選び、購入したのか」

という一連の行動を追った公開データは、少なくとも今回調べた範囲では見つからなかった。

したがって、今回提示した三つの経路は、公開されている複数の調査から組み立てた仮説である。

実際にはどの経路が多いのか。途中の何が決め手になるのか。そして「自分で選んだ」と考えている人の選択に、検索結果、金融機関、特定の発信者がどの程度影響しているのか。

そこまでは分からなかった。

外貨性資産がちょっと気になった人へ

今回調べてみて、もう一つ感じたことがある。

外貨性資産に興味を持っても、最初にどこを見ればいいのかが意外に分かりにくい。

そこで、特定の商品を勧めるのではなく、初心者が全体像や基本的な仕組みを知るための入口になる資料を三つ挙げておく。

まず、資産運用そのものがよく分からないなら

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「サクサクわかる!資産運用と証券投資スタートブック」。株式・債券などの基本から説明されている。[6]

外貨預金が気になるなら

全国銀行協会の「外貨預金の特徴を知る」。外貨預金とは何かというところから、為替差益・差損、手数料、金利、預金保険の対象外であることまで簡潔に説明されている。[7]

株式や投資信託がよく分からないなら

日本証券業協会の「証券投資ってなに?3つのキホン」。貯蓄と投資の違いから株式・投資信託の仕組みとリスクまでを短く確認でき、外国の株式や債券で運用する投資信託の為替変動リスクにも触れている。[8]

このあたりを入口にして、気になるものが見つかったら、次にその商品の公式資料を確認する。

インフルエンサー、金融機関、検索結果、そしてこの記事も含めて、一つの情報源だけで決めない。

情報収集の出発点としては、そのくらいでいいと思う。


脚注・参考資料

[1]日本証券業協会「2025年度 個人投資家の証券投資に関する意識調査」
https://www.jsda.or.jp/houdou/2025/20250716_kojin_ishiki.pdf

[2]投資信託協会「2024年 投資信託に関するアンケート調査」
https://www.toushin.or.jp/files/statistics/114/20250327_research_1.pdf

[3]楽天証券「多くの人が活用している!? YouTubeで投資の勉強をしよう!」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/products/catalog/visitor_catalog_lp/influencer/

[4]楽天証券「行動ファイナンスアンケート回答状況2026年版」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/learn/report/2026/survey/

[5]日本証券業協会「2026年度 個人投資家の証券投資に関する意識調査」
https://www.jsda.or.jp/houdou/2026/20250729_kojin_ishiki.pdf

[6]金融経済教育推進機構(J-FLEC)「サクサクわかる!資産運用と証券投資スタートブック」
https://www.j-flec.go.jp/wpimages/uploads/2024%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88_%E8%A6%8B%E9%96%8B%E3%81%8D%EF%BC%887.0MB%EF%BC%89.pdf

[7]全国銀行協会「外貨預金の特徴を知る」
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-c/5204/

[8]日本証券業協会「証券投資ってなに?3つのキホン」
https://www.jsda.or.jp/nisa/investment/basic/

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